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2014年3月14日金曜日

【書評】企業内診断士の可能性 NECグループ中小企業診断士103人の挑戦

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企業内診断士の可能性 NECグループ中小企業診断士103人の挑戦




NECグループの診断士会の活動について書かれています。前に紹介した「アサヒビールグループ診断士の会」と同様、今後の活動のために学ぶべきところ、刺激を受けたところが多々ありました。

<目次>
はじめに
1 NECグループ診断士会、誕生
2 イノベーションへの情熱
3 自助
4 共創
5 ベタープロダクツ・ベターサービス
6 ダイバーシティ
7 外から見たNEC
あとがき

それぞれの章、タイトルを見ればなんとなくは書いてあることが想像できるのではないかと思います。さまざまな立場の方がそれぞれの考えを書かれています。診断士活動をされている方なら、どこかに必ず自分にとってのヒントになるような箇所があると思います。

このような社外活動で得た貴重な経験を業務にフィードバックし、従来にはない視点から分析や提案を行い、これまで以上に経営に貢献することが、私のやるべきことだと考えている。(p102 「3 自助」)

「企業内」診断士というポジションに立つ以上、所属する会社への貢献は欠かせないと思っています。たとえ将来的に独立を考えていたとしても、目の前の仕事を手抜きして独立の準備をすることは本末転倒でしょう。「仕事」という実践の場で、机上の勉強とは違うものを身につけられるチャンスを放棄するのは個人的にももったいない。

まして僕の場合、会社が資格取得の邪魔をしなかった(笑)ですから。いまの会社でなければ、つまりは前職や前々職であれば、合格できていたとは思えない、ということを考え合わせれば、今の会社に「恩返し」をしないまま、立ち去る(独立する)ことは考えられません。

だとすれば、なにをしていけばいいのか。会社から期待されていることもあるわけで、それに応えて行かなくてはいけないのは前提です。その上で、「社外活動で得た貴重な経験を業務にフィードバック」することはしていかないといけないのだと思います。それは、会社への貢献であると当時に、自分自身の将来の布石にもなり得るわけですから。

実際、企業内診断士は社会起業家支援との親和性が高い。多くの企業では兼職規制等を設けており、有償でコンサルを行うことが制限されている。しかし、せっかく診断士としての知識を身につけたのだから、それを実戦で磨きたいという気持ちがある。その結果、多くの企業内診断士が無償でコンサルを行うことを選ぶが、どうせボランティアで行うのなら一般の中小企業を支援するのではなく、社会的課題を解決しようとしている社会起業家を支援することで、間接的に社会貢献をしたいと考えても不思議ではない。(p137 「4 共創」) 

では、どんな社外活動をしていけばいいのか、というときに、ひとつの選択肢は「プロボノ」なんだと思います。もちろんこればすべてではありませんが。

僕は本来、診断業務は有償で行うべきだと思っています。それはお金が欲しいというわけではなく(少しはありますが(笑))対価をいただけるような活動でなくてはいけない、という想いがあるからです。「無償でやってるんだから」ということが甘えにつながるようだとまずいと思うわけです。

ただ現実的に、副業禁止規定などで自由に活動できない場面もあるのは事実です。そんな時、身につけたスキルを社内だけに使い、あとは何とか更新ポイントが稼げるようにギリギリの活動をする、というのはもったいないと思っています。

自分の問題意識にあわせて、社会起業家やNPOなどの非営利組織のコンサルティングをすることは、双方にとってメリットのあることだと思います。

実際、こんな活動も行われています。
J-NET21-頑張る企業内診断士『気仙沼復興支援プロジェクト「できることから始めよう」』

そしてこうした活動で身につけたものを自分の会社の業務にフィードバックしていけらばいいわけです。
どういう活動に関わっていくか、腹案はあるのですが、真剣に考えていきたいと思います。

ただ問題は、ひとりではたいしたことができないかもしれないということです(苦笑)
でも、ひとりでやろうとしなくてもいいのですよね。

企業内診断士が一人でできることは、多くはない。しかし、100人が得意分野を持ち寄れば、社会や業界、自社をより良い方向へ変革できるほどのパワーを秘めているのではないかと思う。(p22 「1 NECグループ診断士会、誕生」)

診断士は試験の時点で「浅く広く」を求められます。経営について幅広い知識を持っているといっても、すべての分野が万能の人はいません。得意不得意はやっぱりあります。でしから、不得意を補い合うためにも「チーム」で対処することが必要になると思います。
1企業グループで診断士会があるのは、「チーム」をつくるうえでの基盤があるわけで、そこは羨ましいと思いますが、ないものねだりをしても仕方がない。自分で作る努力をしていかなくていけないのだと思います。
幸いにして診断士は「研究会」活動が盛んですから、そこを基盤に取り組むようにしていきます。中にはすでに取り組まれている方もいるでしょうし、いろいろ教えをいただきながら進めていこうと思います。

そうした活動を通して、自分にできる価値の提供をしていくことが使命だと感じています。

このように企業内診断士は、中小企業診断士の本来の目的である直接的な中小企業への貢献のみならず、企業内での活動・連携を通して、社会に新たな価値を提供できると考えています。(p260 「あとがき」)