ハイブリッドコンサルタント

2014年1月26日日曜日

【研究会】東京商工会議所の経営支援策について

東商(東京商工会議所)についてお話を聞く機会がありました。




東商、あるいは上部団体である日商(日本商工会議所)は、大企業を中心とする他の経済団体(経団連や経済同友会)と違い、商工業者を会員とするため、中小企業の会員が大多数を占め、そのため中小企業支援はその活動の中心となっています。

また、東商は東京23区の組織ではありますが、会頭が日商の会頭を兼務することになっていますので、その施策は全国に影響すると考えておいた方がいいのだと思います。

活動は大きく分けて以下の3つということでした。
(1)経営支援
(2)政策(提言)
(3)地域振興

そのなかで、(中小企業)経営支援の概略についてまとめておきます。


経営相談
事前に予約することで本部や各支部で相談が受けられる。相談料は無料。「法律」は弁護士、「税務」は税理士、「労務・社会保険」は社会保険労務士、「登記」は司法書士、などそれぞれの内容に応じて専門家が相談に対応します。
(一覧表に中小企業診断士の名前がない(苦笑)ホントはいろいろと関わっているはずなのですが、名前がないというのはちょっとね(苦笑)さみしいというかなんというか)
その他に
創業支援事業
経営安定特別相談事業
倒産防止のために相談を受ける。倒産が不可避になった場合は社会的影響を最小限にとどめるために整理法を助言する
中小企業再生支援協議会事業
などの事業が行われています。
また、個人事業者への記帳相談や海外ビジネス相談の窓口もあります。

資金調達
小規模事業者経営改善資金(マル経融資)
商工会議所の推薦に基づいて日本政策金融公庫から貸し出しされる。
無担保・無保証人。
小規模事業者とは従業員が20名以下(商業・サービス業は5名以下)の法人・個人事業主。
融資限度額は1500万円以内、返済は運転資金は7年、設備資金は10年以内。
メンバーズビジネスローン
東京商工会議所と協力金融機関(銀行・信金・信組)の提携で通常より優遇された条件で融資を受けることができる。
創業支援融資保証制度
東京商工会議所と信用保証協会、民間金融機関が提携し、創業前もしくは創業5年未満の事業者を対象とする。
物的担保は原則不要。保証人は法人の場合は代表者、個人の場合は原則不要。 融資限度額は2500万円。返済は運転資金は7年、設備資金は10年以内。


販路開拓・PR
ビジネス交流イベント
情報交換・企業PR・人脈構築・マッチングなど目的とした交流会。テーマ別・職種別・業種別などさまざまな会がある。
ビジネス伝言板
会員企業が情報提供者となるPRサイト。
プレスリリースサポート
共同通信PRワイヤーで国内報道機関へプレスリリースの発信ができる。東商会員は年会費が免除。

人材採用・育成
・採用支援
新卒採用支援事業(合同会社説明会や学校法人との情報交換会)と中途採用支援事業がある。
研修プログラム
階層別(幹部・中堅・若手・新入社員)・分野別のプログラムがある。集合研修では、異業種交流の場になる。
検定試験
日商簿記は無論のこと、ビジネス法務検定・カラーコーディネーター・福祉儒環境・eco・販売士・メンタルヘルスマネジメント・DCプランターなどの検定の実施。


福利厚生
CLUB CCI
いわゆる福利厚生代行サービス。リゾート・トラベル、スポーツ・フィットネス、アミューズメント・グルメ、ライフサポートなどのメニューがある。
共済制度等
生命共済・労災上乗せ共済・所得補償共済・東証401Kなど。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
取引先が倒産した時の資金手当てのための共済金貸付制度。商工会議所で取り扱いを代行。(運営は「中小企業基盤整備機構)
小規模企業共済
小規模企業経営者の引退後の生活資金準備のための退職金制度。納付金は全額「所得控除」。商工会議所で取り扱いを代行。(運営は「中小企業基盤整備機構)
・健康診断サービス
専門健診機関と提携して格安な料金で各種健診を実施する。

以上、ざっとあげてみました。診断士試験の「中小企業政策」で勉強した内容が多々含まれます、けっこう忘れてしまってますが(苦笑)

これ以外にもさまざまな支援メニューがあります。こうした支援メニューはどんどん使ったほうがいいと僕は考えています。そして使うかどうかは実は「知っているか、知らないか」にかかってくる部分が大きいのではないかと思っています。知らなかったがゆえに必要以上に経営が苦しくなると言うのは非常にもったいない。

細かくわかっていることはありません。ある事さえわかっていれば、必要に応じて相談することができます。そうした啓蒙活動はどんどんやっていくべきだと考えていますので、折に触れてこの場で書いていこうと思っています。(「小規模企業共済」については近々書きます)



ちなみに、東商の初代会頭は渋沢栄一さんだったそうです(知らなかった)東商の案内にもそのことが強調されていました。
渋沢さんの考えを知るにはこの本でしょう、ということで、1冊あげておきます。

論語と算盤 (角川ソフィア文庫)