ハイブリッドコンサルタント

2014年1月10日金曜日

【書評】職業、企業内診断士―アサヒビールグループ診断士の会の挑戦

職業、企業内診断士―アサヒビールグループ診断士の会の挑戦



 「羨ましい」
読み終わって最初に思ったことはこれでした。自分の所属する会社の中に複数の診断士がいて、その仲間が集まって診断士会があって、企業診断も行っている。会社に自分しか診断士がいないの僕からすると「いいなあ」と思ってしまうエピソードがたくさん書かれていました。

<目次>
第1章 「アサヒビールグループ診断士の会」について
第2章 資格の業務への活かし方
第3章 グループ内からみたアサヒビールグループ診断士の会
第4章 社外からみたアサヒビールグループ診断士の会

第1章は主に「アサヒビールグループ診断士の会」としての活動について、第2章は診断士会のそれぞれのメンバーが、診断士の資格を自分の業務にどう活かしてしるかについて書かれています。

「羨ましい」と思った最大のエピソードは第1章に書かれている企業診断の実例。アサヒビールグループ診断士の会の有志が集まり、取引先やグループ会社の診断実務を行った話です。僕にはどうやっても叶えることのできないことなので、言っても仕方がないと思いつつ、やっぱり羨ましい、と感じてしまいました。

もちろん、それは簡単なことではないと思います。業務として行っているわけではありません。本業を抱えながら活動していくことに苦労は多いと思います。実際、「そうした苦労もあるのか」と思わされるエピソードも書かれています。忙しい人間が何人も業務外の時間に集まって調査と分析と議論を積み重ねていく。しかもプロコン(独立診断士)の方に指導を仰ぎ奈良進めるわけでもありません。それは大変なことだとは思います。しかしその一方で、そういうことが好きだから診断士の資格を目指した、という部分がある人も多いと思います。僕にもそうした部分はあります。

ただ当面は独立することは考えず、いま所属している会社に留まりながら「企業内診断士」として仕事をしていくと決めている以上、「羨ましい」と思うだけでは仕方がないとも思いました。

そう思うと、第2章はとても参考になります。それぞれの方が、「社内」で資格を、取得を通して学んできたことを活かしている具体例が多数紹介されていたかるからです。

試験勉強をの過程で学んだことをどう業務に活かしているのか、また、学んだことだけではダメでその先の研鑽がどう必要になってくるのか、具体的な体験を通して語られています。

もちろん業界も違えば会社の規模も違いますからそのまま真似できるわけではありませんが、参考にしなくてはいけないところはたくさんあると感じました。診断士だからこそできる自社への改善提案は、どのような会社であっても必ずあるはずです。いや、自分の会社が中小企業なわけですから、もしかしたら大企業よりやれることはたくさんあるのかもしれません。

また、羨ましいとと思ってしまった(笑)企業診断についても、さまざまな研究会活動などを通して、関わるチャンスは必ずあるはずです。僕と同様な立場にいる方も多いと思いますし、そうした人がつながってチャンスを形にしていくことも可能でしょう。

社外のネットワークを活かして学びを深め、それを自社に持ち帰って業務に活かし研鑽を積んでいく。またそれを社会に還元していく。そんなサイクルが作れたらと思います。

そしてできれば自分の会社で僕に続く人が出てくるような支援がしていけたらと思います。