ハイブリッドコンサルタント

2013年11月27日水曜日

【研究会】実践経営勉強会~台東区における中小企業経営支援制度について

11月21日(木)、診断士会城北支部主催の「実践経営勉強会」に参加してきました。




この会は、月1回、診断士の他、他の士業やコンサルタント、行政担当者の方などを講師に迎えて、企業経営に関するさまざまなテーマについて勉強する会です。発足以来、150回以上継続しているという歴史のある会。

実務補習のときの指導員の先生が事務局をされている関係で参加させていただきました。というか、「会社からも近いのだから来ればいい」と言われてまして(笑)内容は興味があることが多く、もっと早く参加したかったのですが、18時スタートというのがネックになっていて、ようやく初参加できたという次第です。





今回は。台東区の産業振興課の方からお話を伺いました。今までの生活では、行政の、しかも現場の第一線で活動されている方の話を聞く機会はめったにないことでしたので、非常に参考になることが多かったです。また、診断士云々以前に、僕は荒川区の企業に勤務をしているわけで、台東区は川を挟まない隣接区、さまざまな交流もあるようですし、課題も共通するものがあると思われました。

台東区について・台東区の産業

台東区は、上野と浅草、という二大歓楽地を持っています。両者とも門前町(上野寛永寺と浅草寺)として古くから盛り場として発展してきたというのも共通点もあります。その一方、上野には、芸大もあり、さまざまな博物館や美術館を持っていますし、御徒町はジュエリーの卸の集積地ですし、さまざまな顔を持つ地域だ、ということを再確認しました。言われてみればその通りだと思うのですが、意識していないと案外気づかいないものですね。


■金融・経営支援

中小企業は約2万5千社、各種支援制度の利用率は23区で一番高いということです。利用率が高いから危ない企業が多い、というわけではないので、そこは誤解してはまずい点だと思っています。融資制度ひとつとってみてもさまざまな制度があります。積極的な設備投資のための融資依頼も当然あります。ただ、その場合でも直接金融機関と交渉するとなかなか融資が下りない場合があるので、行政が(審査の上)審査の上「融資あっ旋書」を発行し、また信用保証協会へ保証を行うことで融資をしやすくするということが一般的な流れです。

これを誤解すると、行政に支援の相談に行くと取引先から「あそこは危ないと思われる」と思いこんで、こうした支援制度を使わない経営者がいらしたりします。非常にもったいない。使えるものは使ったほうがいいに決まっています。

もちろん、昨今の不景気の影響で、セーフティーネット保証制度(取引先の倒産、自然災害、金融機関の貸し剥がしなどのより経営の安定に支障が生じた場合に資金供給の円滑化を図ることを目的とした制度)、その中でも「5号認定」(全国的に業績が悪化している業種に属する中小企業者を支援するための措置)の利用が多くあるのも事実だそうです。

経営相談は、いままでは、役所の窓口に事業者の方から出向いてくのが当たり前でしたが(いまも多くはそうです)役所の方から出向くことがあってもりいのではないか、ということで「出前説明」という制度も作られたということです。これはなかなか画期的。





さらに、地元有力金融機関である朝日信用金庫と、連携協力に関する協定を結ばれた、ということです。こうした明確な形で民間と協力するのは珍しいのではないかと思います。それぞれ思惑は違うわけでまとめるのも難しかったと思うのですが、着地点は一緒だ、ということで進められたようです。つまり、区内の事業者が元気にならないと両者とも困る、という点は一死しています。信用金庫は本来、お金を貸してナンボの商売です。貸出先が減れ、収益が悪化します。区は法人税の減収を招きます。

その一致点を大切に、お互いにできることできないことを話し合いながら進めているそうです。

■感想

もっと細かな数字や、今後の展望についてもお話を聞いたのですが、オープンに出来ない話も多く(苦笑)ここには書けません。

強く感じたことは、役所が積極的に変わろうとしている姿勢が垣間見えるということです。積極的に民間の力を活用しいこうとされている雰囲気を感じました。それはなんでもかんでも民に任せる、ということではなく、行政だからできることと民間だからできることの役割を分担していこう、ということです。

たとえば、インフラ整備を含めた総合的な企画の立案や、各種団体・商店街などの連絡調整は行政の仕事です。一方、個別の案件に関して具体的な支援策を作ったり、長期的な成長戦略を描いたりするのは行政だけではできません。金融機関やさまざまな士業との連携が必要になるだろう、ということでした。

現在の日本は、役人を叩くと人気が上がります。自称・改革派の首長やマスコミは、とにかく行政を悪者にします。しかし、僕の受けている感覚では志を高く持った行政の方も多数いらっしゃいます。(もちろん、批判されるような勤務をされている人がいるのも事実ですが、一部を突いて全体をつぶしては意味がない。


政治家の本来の仕事は、行政をうまく使って成果をあげることです。われわれ一般人にとっても、行政は利用するものだと僕は思っています。こうした志ある行政マンたちと手を組んで、地域のため、日本のために活動していく道を探していきたいと思っています。